セミナーなどで、乳酸菌生産エキスとは何かという話をする際によく使うのがこのイラストです。 生き物が生産物質を生産する、あるいは代謝するというイメージはなかなか一般的ではありません。蚕(カイコ)ガ作り出す生産物質が絹であり、もともと蚕の中にはなかった物が、蚕が桑の葉っぱを栄養源として食べることで、全く別の絹という物質が出来上がる・・・という説明を以前はよく行なっていました。

最近はイラストのように、サラリーマンのお父さんが一生懸命働いて、その労働対価として家に届けるお給料が生産物質、という説明がわかりやすいようです。 家で家族が待っているのはお父さんではなく給料袋の方です。お父さんはいつまでも元気で働いてお給料を稼いでくれれば、それでいい。新しい働き手として、 お父さんの知り合いが居候として一家に加わったとしても、結局はお父さんと仲が悪くなり家を追い出されてしまいます。

お父さんが元気で働いている間は、家族も満たされていて元気ですが、お父さんが歳をとってあまり働けなくなってくると、家族も生活の質が低下し、元気も無くなっていきます。言うまでもなく、働くお父さんが腸内細菌で、お給料がラクトザイムのような乳酸菌の生産物質です。家族は腸管免疫を代表とする体の免疫力。居候としてやってきたよそ者の友人は乳酸菌飲料でしょうか。

この家族の所に、若くて元気が良い、よく働く若者がやってきたとしても、家族と一緒に仲良く生活していくことはできません。しかし、一家のところに毎月、定期的にかなりの額の年金が送られてきたとしたらどうでしょうか。働けなくなってしまったお父さんも、悪い気はしませんし、家族は大喜びで再び元気になります。

この場合、年金が乳酸菌生産エキスということになります。人間の免疫系も、腸内にいる細菌が必要なのではなく、腸内細菌が生産した生産物質を送り込むことの方が重要なのです。

ブルーチーズは、チーズ用の青カビの菌が放出した
独特の代謝物(生産物質)の匂いや味を利用した食品です。
製薬のペニシリン(Penicillium)も、
ペニシリン族の青カビの菌が放出した代謝物(生産物質)を精製したものです。