糖質ダイエットという言葉が流行り、炭水化物を摂らずにダイエットなどという減量方法ですが、実(まこと)しやかに語られるようになりました。嘆かわしい誤解だと言わざるを得ないです。我々に必要な栄養素としてあげられる炭水化物を細かく分けると図のようになります。 厚労省によれば、人間の身体になくてはならない栄養素のうち、エネルギー(カロリー)源となる「たんぱく質・脂質・炭水化物」を『エネルギー産生栄養素』と呼んでいます。以前は三大栄養素とも言われていました。 この中の炭水化物をさらに細かく分け、腸内細菌の中の善玉菌を増やすとされる食物繊維を除くと、糖質という成分となります。糖質には、炭水化物と同様にビフ
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笑ってしまった内田有紀のインタビュー
奇跡の45歳と言われる内田有紀へ、美貌を保つ秘訣はどこにあるのかとのインタビュー記事を読み、思わず笑ってしまった。「食事とか気をつけていることは?」との問いに曰く、「顔というよりは食べた分は段々体につきますからね。お昼は炭水化物をやめて野菜ジュースとヨーグルトを合わせただけで、夜はお肉もお魚もおいしく食べるとか。そういう感じで炭水化物を減らします。それだけです。特別なことはやっていません。化粧も最低限で化粧水を普通に、とかぐらいです。(略)」 彼女は野菜ジュースやヨーグルトが炭水化物のカタマリだとは、知らないらしい。 というか、内田有紀だけではないだろうが、炭水化物がお米やうどんだけを指す言葉
早わかり:乳酸菌生産エキスとは
セミナーなどで、乳酸菌生産エキスとは何かという話をする際によく使うのがこのイラストです。 生き物が生産物質を生産する、あるいは代謝するというイメージはなかなか一般的ではありません。蚕(カイコ)ガ作り出す生産物質が絹であり、もともと蚕の中にはなかった物が、蚕が桑の葉っぱを栄養源として食べることで、全く別の絹という物質が出来上がる・・・という説明を以前はよく行なっていました。 最近はイラストのように、サラリーマンのお父さんが一生懸命働いて、その労働対価として家に届けるお給料が生産物質、という説明がわかりやすいようです。 家で家族が待っているのはお父さんではなく給料袋の方です。お父さんはいつまでも元
豆乳でバストが大きくなる、はホントかウソか?
無農薬大豆から作った豆乳の販売をしておりますと、よく女性から豆乳を飲むことでバストが大きくなりますか? と言う質問を受けます。 婦人科医ではないので、大きくなりますともなりませんとも言えませんが、私の見解を述べておきます。 バストの大きさには乳腺の大きさが影響しますが、成長期に乳腺の成長を促すのが、卵胞ホルモン(エストロゲン)と言う女性ホルモンです。 このホルモンの分泌が盛んであれば乳腺は大きくなる可能性がありますが、このホルモンの分泌は脳からの指令によるものです。 まず、脳の脳下垂体から性腺刺激ホルモンが分泌されます。次にこの性腺刺激ホルモンに刺激されて、卵巣から卵胞ホルモン(エストロゲン)
腸の老化はどこから始まるか
加齢とともに、腸自体の消化機能が低下することが知られています。 消化機能の低下は腸内細菌の機能低下をもたらし、腸内細菌の重要な機能である免疫力を維持する機能が低下し、これが免疫老化と呼ばれる免疫力の低下をもたらします。 免疫老化が始まると慢性炎症状態となり、それがさらに胃腸炎、ガン、糖尿病などをはじめとするメタボリックシンドロームなどに発展すると考えられています。 また、血中の炎症性サイトカイン(IL6やTNFなど)のレベルは、年齢とともに上昇傾向にあり、これらのサイトカインが様々な疾患を引き起こすことが考えられます。 この炎症性サイトカインの加齢による上昇という現象も、腸内細菌の老化に連動し
平均寿命と健康寿命
健康寿命という言葉をご存知でしょうか。 健康寿命とは、人の寿命において「健康上の問題で日常生活に支障なく生活できる期間」とWHO(世界保健機関)により定義され、厚労省は日本人の健康寿命について統計をとっています。 統計によると、日本人の健康寿命は平均寿命と比べて10年ほどの差があり、これは体や内臓に問題が生じて「健康上の問題で日常生活に支障を来たしている」期間といえます。 寿命と健康寿命の差が拡大すれば、健康上の問題だけではなく、医療費や介護費の増加による家計へのさらなる影響も懸念されます。 長寿大国日本の現状 厚労省の発表では、40~74歳におけるメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)
腸内細菌は免疫機能のコンダクター(指揮者)
腸が消化器官として果たす役割については、すでに一般的になっていると思います。 口から入った食物が胃や十二指腸を経て消化物として腸に到達し、養分や水分が吸収されて便として排泄される・・・と、ここまでは誰でも知っている働きでしょう。 しかし、腸内細菌と免疫との関係となると、なかなか簡単には理解されない領域だと思います。 腸内環境はオーケストラ 私が腸内細菌の世界を説明する際に、よくオーケストラに例えて話をしています。 たくさんの種類の乳酸菌をそれぞれの楽器の奏者に例え、彼らが生息している腸内はまるで広いコンサートホールです。 オーケストラではコンダクター(指揮者)は一人ですが、腸内菌の場合は独立し
糠味噌漬が美味しい理由
糠味噌漬を美味しく作る方法など、net上には様々なテクニックが書き込まれています。読んでみますと、原理的にはどれもぬか床に含まれている乳酸菌による正常な発酵を促進し、余計な菌が繁殖しないための方策のように読み取れます。 書いている人はそのような認識はないのかもしれませんが、少なくとも糠味噌漬の美味しさは 乳酸菌による発酵でもたらされるということは間違いありません。 では、糠味噌漬の美味しさは何によって実現するのでしょうか。 多くの方が、「美味しい糠味噌漬けができるぬか床」と「美味しい野菜」、そして「定期的にかき混ぜること」と答えるでしょう。 お店で売っているぬか床よりも、おばあちゃんがいつも漬
認知不協和とは何か
バイアス同様に、取りあえず目先の不安を取り除くために自分で方便を作り心のバランスを得ることが、 認知不協和と呼ばれます。 認知不協和に基づく行動の中でも、直接的に命の危険に結びつかないまでも、迷った際に転がり先を選ぶ原動力となる場合が、よくあります。 たとえば・・・ テレビでガンガン宣伝している商品だから効果があるだろうと思い、通販で買ってしまう。 大手メーカーが嘘を宣伝するはずがないので、買ってしまう。 有名タレントが宣伝しているから安心だから、買ってしまう。 有名ドラッグストアで売っているから効くんだろうと考え、買ってしまう。 医者の言う事だけ聞いていれば大丈夫だろうと、生活習慣を改めない
腸内環境は改善するか
腸のリノベーションはできないにも、腸内環境とは何を指す言葉なのかについて書いたが、ここでは「改善」という言葉について考えてみたい。 ウィキペディア(Wikipedia)によれば、改善とは『 誤りや欠陥、ミスを是正しより良い状態にする事、行為』とある。 また、weblio辞書でも『改善とは、より好ましい・望ましいものへ改めること、及びそのための創意工夫の取組み、の意味で用いられる表現』であり、 改善の使用例として「業務プロセスの改善」「二国間関係の改善」などとある。 いずれも、改善されたとは良い状態が継続している結果を指すもので、すぐに元に戻るような場合は改善されたとは言わないはずだ。 つま
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