コピ・ルアク(Kopi Luwak)という、主にインドネシアで生産されるジャコウネコの糞から採られたコーヒー豆をご存知でしょうか。
もともと、インドネシアのコーヒー農園で栽培されたコーヒーの果実(コーヒーは豆でなく種子)を、野生のマレージャコウネコが餌として食べ、農家が未消化のコーヒー豆をネコの糞の中から探し出して洗浄・乾燥・焙煎したものです。
果肉は消化されるのですが、種子のコーヒー豆は消化されずにそのまま排泄されるようで、排泄までの腸内の発酵過程でジャコウネコの腸内細菌や、主に腸内細菌の代謝物が種子の表面から染み込んで、コーヒー豆に独特の香味が加わったものだと思います。
簡単に言えば、ネコの腸内でコーヒー豆の漬物ができるわけです。
腸内細菌が風味に作用しているのであれば、当然ネコの個体によって腸内フローラが異なることで、どの猫の糞から採取した豆かによって風味が変わってくるはず。その辺の研究はされているのでしょうか。
もしかしたら、ヒト腸内細菌の代謝物のように免疫機能に働きかけるような成分も含まれていたりして、コピ・ルアクを飲み続けていたら、何かの病気が治ったなんて症例もあるかもしれません。
また、腸内発酵でカフェイン含有量が通常のコーヒーの約半分に減るとのこと。逆に言えば半分の量のカフェインを猫が吸収し、何らかの覚醒作用を及ぼしている可能性もあると考えられます。
コピ・ルアクの世界最大の消費地は日本や台湾、韓国などのアジア諸国だそうですが、コーヒー豆としての品質が優れているわけではなく、独特で豊かな香りや味のコクが評価されているとのこと。しかし現在市販されているコピ・ルアクは観光客向けに大量生産されているため、鮮度や品質が低いようです。
ネコの糞から拾ったコーヒー豆なんて嫌だ、というあなた。
ヒトの便から採取した乳酸菌を使ったヨーグルトを、毎日食べているではないですか。
ネコの糞から取ったコーヒー
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