早わかり:乳酸菌生産エキスとは
セミナーなどで、乳酸菌生産エキスとは何かという話をする際によく使うのがこのイラストです。 生き物が生産物質を生産する、あるいは代謝するというイメージはなかなか一般的ではありません。蚕(カイコ)ガ作り出す生産物質が絹であり、もともと蚕の中にはなかった物が、蚕が桑の葉っぱを栄養源として食べることで、全く別の絹という物質が出来上がる・・・という説明を以前はよく行なっていました。 最近はイラストのように、サラリーマンのお父さんが一生懸命働いて、その労働対価として家に届けるお給料が生産物質、という説明がわかりやすいようです。 家で家族が待っているのはお父さんではなく給料袋の方です。お父さんはいつまでも元気で働いてお給料を稼いでくれれば、それでいい。新しい働き手として、 お父さんの知り合いが居候として一家に加わったとしても、結局はお父さんと仲が悪くなり家を追い出されてしまいます。 お父さんが元気で働いている間は、家族も満たされていて元気ですが、お父さんが歳をとってあまり働けなくなってくると、家族も生活の質が低下し、元気も無くなっていきます。言うまでもなく、働くお父さんが腸内細菌で、お給料がラクトザ・・・
豆乳でバストが大きくなる、はホントかウソか?
無農薬大豆から作った豆乳の販売をしておりますと、よく女性から豆乳を飲むことでバストが大きくなりますか? と言う質問を受けます。 婦人科医ではないので、大きくなりますともなりませんとも言えませんが、私の見解を述べておきます。 バストの大きさには乳腺の大きさが影響しますが、成長期に乳腺の成長を促すのが、卵胞ホルモン(エストロゲン)と言う女性ホルモンです。 このホルモンの分泌が盛んであれば乳腺は大きくなる可能性がありますが、このホルモンの分泌は脳からの指令によるものです。 まず、脳の脳下垂体から性腺刺激ホルモンが分泌されます。次にこの性腺刺激ホルモンに刺激されて、卵巣から卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されるしくみです。このうち、卵胞ホルモン(エストロゲン)が、女性らしさを作るホルモンとして乳腺の発達に関係しています。 卵胞ホルモンは思春期から分泌量が多くなり、30代でピークに達し更年期になると減少すると言われますが、乳腺の発達自体は20代中頃までには終了するとも言われています。 逆に言いますと、卵胞ホルモンがいくら盛んに分泌しても、20代中頃を過ぎた後は、・・・
腸の老化はどこから始まるか
加齢とともに、腸自体の消化機能が低下することが知られています。 消化機能の低下は腸内細菌の機能低下をもたらし、腸内細菌の重要な機能である免疫力を維持する機能が低下し、これが免疫老化と呼ばれる免疫力の低下をもたらします。 免疫老化が始まると慢性炎症状態となり、それがさらに胃腸炎、ガン、糖尿病などをはじめとするメタボリックシンドロームなどに発展すると考えられています。 また、血中の炎症性サイトカイン(IL6やTNFなど)のレベルは、年齢とともに上昇傾向にあり、これらのサイトカインが様々な疾患を引き起こすことが考えられます。 この炎症性サイトカインの加齢による上昇という現象も、腸内細菌の老化に連動していると考えられています。 トシとともに消化機能が低下する・・・。トシだからしかたないから消化の良いものを食べよう、だけではすまない大変な変化が、実は老化した腸内で起こっているわけです。 実は、腸内細菌の老化はすでに証明された事実です。 近年、腸内細菌が日々作り出す短鎖脂肪酸に注目が集まっております。短鎖脂肪酸には腸内を弱酸性の環境にして有害な菌の増殖を抑制したり、大腸の粘膜を刺激して蠕動運動を促・・・
乳酸菌生産エキスとアレルギー
乳酸菌生産エキスは、大豆を乳酸菌などの腸内細菌で発酵させ、エキスを抽出したものです。菌が大豆の成分を栄養源として、別のものに作り変えていくことが発酵過程ですので、大豆をそのまま食べた際に起こる、大豆アレルギーの原因となる大豆タンパクはほぼ、腸内細菌によってアミノ酸の大きさまで分解されてしまいます。そのため、大豆アレルギーを持つ方が乳酸菌生産エキスを摂った場合に、大豆アレルギーを発症する可能性は極めて低いと考えております。参考としまして、乳酸菌生産物質の中に大豆由来のタンパク質などのアレルゲンが含まれているかどうかの、詳しい分析結果をお示しします。結果は陰性ですので、他の食品同様に大豆アレルギーを引き起こす可能性はほぼないと考えられます。 大豆成分の分析結果
平均寿命と健康寿命
健康寿命という言葉をご存知でしょうか。 健康寿命とは、人の寿命において「健康上の問題で日常生活に支障なく生活できる期間」とWHO(世界保健機関)により定義され、厚労省は日本人の健康寿命について統計をとっています。 統計によると、日本人の健康寿命は平均寿命と比べて10年ほどの差があり、これは体や内臓に問題が生じて「健康上の問題で日常生活に支障を来たしている」期間といえます。 寿命と健康寿命の差が拡大すれば、健康上の問題だけではなく、医療費や介護費の増加による家計へのさらなる影響も懸念されます。 長寿大国日本の現状 厚労省の発表では、40~74歳におけるメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群) 該当者数は約940万人、予備群者数は約1,020万人、併せて約1,960万人もの数にのぼります。メタボロックシンドローム(メタボリック症候群)などの生活習慣病は、 これからの高齢化社会が立ち向かわなくてはならない社会問題と言ってもよいでしょう。
腸内細菌は免疫機能のコンダクター(指揮者)
腸が消化器官として果たす役割については、すでに一般的になっていると思います。 口から入った食物が胃や十二指腸を経て消化物として腸に到達し、養分や水分が吸収されて便として排泄される・・・と、ここまでは誰でも知っている働きでしょう。 しかし、腸内細菌と免疫との関係となると、なかなか簡単には理解されない領域だと思います。 腸内環境はオーケストラ 私が腸内細菌の世界を説明する際に、よくオーケストラに例えて話をしています。 たくさんの種類の乳酸菌をそれぞれの楽器の奏者に例え、彼らが生息している腸内はまるで広いコンサートホールです。 オーケストラではコンダクター(指揮者)は一人ですが、腸内菌の場合は独立した菌のコロニー(集落)が全体でタクト(指揮棒)を握っています。 観客は免疫に関わっている細胞などで、良い音色を聴くと免疫力が上がって大満足で帰っていきます。 長年、仲良く同じメンバーで調和を保って演奏してきた楽団の仲間たちは、誰がどんな音色を奏でるか、自分の楽器の音のよう熟知しています。 何十年も演奏活動を続けるうちに楽団員もみな年をとっていき、若い頃のような美しい音色で楽器を奏でることができなく・・・
糠味噌漬が美味しい理由
糠味噌漬を美味しく作る方法など、net上には様々なテクニックが書き込まれています。読んでみますと、原理的にはどれもぬか床に含まれている乳酸菌による正常な発酵を促進し、余計な菌が繁殖しないための方策のように読み取れます。 書いている人はそのような認識はないのかもしれませんが、少なくとも糠味噌漬の美味しさは 乳酸菌による発酵でもたらされるということは間違いありません。 では、糠味噌漬の美味しさは何によって実現するのでしょうか。 多くの方が、「美味しい糠味噌漬けができるぬか床」と「美味しい野菜」、そして「定期的にかき混ぜること」と答えるでしょう。 お店で売っているぬか床よりも、おばあちゃんがいつも漬けている糠床をもらってきた方が良い、とか、自分で美味しくなる糠床を育てる方法、というのもあるようです。 そもそも糠味噌漬の美味しい味は、糠床に含まれている乳酸菌など、菌自体の味ではありません。菌を舐めても美味しくなんかありません。かと言って、糠床に漬けた野菜の味というわけでもありません。糠味噌漬の味を語るのであれば、発酵という現象について詳しく理解する必要があり、それは他の発酵食品全てに共通する内・・・
認知不協和とは何か
バイアス同様に、取りあえず目先の不安を取り除くために自分で方便を作り心のバランスを得ることが、 認知不協和と呼ばれます。 認知不協和に基づく行動の中でも、直接的に命の危険に結びつかないまでも、迷った際に転がり先を選ぶ原動力となる場合が、よくあります。 たとえば・・・ テレビでガンガン宣伝している商品だから効果があるだろうと思い、通販で買ってしまう。 大手メーカーが嘘を宣伝するはずがないので、買ってしまう。 有名タレントが宣伝しているから安心だから、買ってしまう。 有名ドラッグストアで売っているから効くんだろうと考え、買ってしまう。 医者の言う事だけ聞いていれば大丈夫だろうと、生活習慣を改めない。 自分だけはコロナに感染しないだろうと考え、平気で人混みに出かけてしまう。 このような行動を全て否定するものではありませんが、多数派同調バイアス・正常性バイアス・認知不協和などの心理的バイアスは全て、正常な判断を阻害する負の力として働き、 本来できるはずの正常な判断を狂わす要因です。生活習慣病の多くが、バイアスなど精神的な影響を受けていることは否めないのではないでしょうか。逆に、疑り深く人の言う・・・
腸内環境は改善するか
腸のリノベーションはできないにも、腸内環境とは何を指す言葉なのかについて書いたが、ここでは「改善」という言葉について考えてみたい。 ウィキペディア(Wikipedia)によれば、改善とは『 誤りや欠陥、ミスを是正しより良い状態にする事、行為』とある。 また、weblio辞書でも『改善とは、より好ましい・望ましいものへ改めること、及びそのための創意工夫の取組み、の意味で用いられる表現』であり、 改善の使用例として「業務プロセスの改善」「二国間関係の改善」などとある。 いずれも、改善されたとは良い状態が継続している結果を指すもので、すぐに元に戻るような場合は改善されたとは言わないはずだ。 つまり、一時的に状態が良くなっただけなら『好転した』のような表現が相応しく、すぐに元に戻ることが分かっているのでは、 体にとって戻った状態が正常な状態なのだから、これは腸内環境の改善とは言えない。 本質は変わっていないのだから。 これを腸内環境の改善という言葉に当てはめてみたい。 ヨーグルトを食べたら糞便中のビフィズス菌が増えたというデータをもって、腸内環境が改善したと宣伝しているメーカーがある。・・・